量のモニタリング

IoT-DRRとは?

IoT-DRR(Internet of Things for Disaster Risk Reduction)とはIoTを利用活用した防災のことである。

IoTとは、「モノのインターネット」すなわち、インターネットを介してセンサによるデータ収集や、ポンプなどに代表されるアクチュエータでなんらかの動作をさせることである。一般には、IoTのセンサーが注目され、IoT用の機器の価格が下落して、大量のデータすなわちビックデータを生み出し、それをAI等で意味を見出すことに注目が集まっているのだが、逆に自動化も推し進められることになる。広い意味でのIoTにはスマホのセンサーやGPSからのデータも含まれている。

そもそも、防災、特に気象災害の分野はAMeDASに代表される多くのセンサからのデータを収集解析することで、災害予測が行われてきており、IoTとの親和性は高い。

しかし、センサーノードの価格が下落するにしても、新たにそのような事業を利益ベースに乗せて行うとすると、開発や維持管理に人件費が大部分を占めることになり、今後縮退が懸念されている地方での財政負担は重くなり問題が多い。むしろ、古代からの水管理の慣例に従い、住民自らこのようなIot-DRRを荷えばこのような負担は軽減できる。技術面のサポートも、最近はシビックテックといわれる技術者が住民や自治体をポランタリーにサポートする試みが行われているため、連携することが可能である。


図1 Flood.network の地図による現状表示 http://map.flood.network


図2 Flood.network の水位センサー。超音波センサー利用。電池駆動と思われる。 http://map.flood.network

Iotによる洪水位モニタリング

あまみず社会研究会のメンバーとともに、福岡市内を流れる桶井川のモニタリングを行うことになった。

1.センサーノードの構成

センサーノードのメインボードには Arduino コンパチブルな Seeeduino Stalker v3.0/3.1を採用ている。この基板は最初からリアルタイムクロック (RTC) を搭載しており、またバス上のデバイスの電源を落とすことも可能であるため、これを使用している。センサーは lood.network と同じと思われる超音波センサーを使用し、12c でデータを取り込んでいる。 データの分解能は 1cmである。 SORACOMのLoRaWANシールドを用いてLoRaWAN ゲートウエイに接続することができる(図3)。 このシステムは、熊本高専の森下功啓先生に開発を依頼し、動作時の平均消費電流0.84mA(電圧 3.3V)を達成している(https://www.slideshare.net/katsuhiromorishita/lorawaniotltvol001)。

(図3 Seeeduino Stalker LoRaWAN シールド https://www.slideshare.net/katsuhirorriorishita/
V3.1 + SORACOM https://www.slideshare.net/katsuhiromorishita/ Iorawaniott-volC01 より

2.センサーノードの設置


図4 樋井川の上流に設置された河川水位センサー。
無線は LoRaWAN(920MHz) を利用

センサーノードは基本的には橋の欄干を用い、川の澤筋の上流に設置している(図4)。

現在はゲートウエイのカバー範囲(後述)の都合上、3箇所の設置にとどまっているが、今後8箇所まで観測地点を増やす予定である。

(謝辞) この設置に関しては九州大学の寺村研究員、田浦研究員、池松技術員にサポートいただいた。
記して謝意を表す。

3.ゲートウエイ (GW)の設置


図5 あめにわ憩いセンターに設置した「LoRaWAN ゲートウエイ

ゲートウエイ(以下GW)は、できるだけ見とうしの良い場所に設置する必要がある。
今回は、樋井川5丁目のあめにわ憩いセンター(2階建)の屋上に設置した(図5)。


図6 LoRaWAN カバー範囲

カバー範囲は、都市部でもあるので、1.5km程度である。これで樋井川の上流側3時点のデータを収集している(図6)。


図7 あめにわ憩いセンターであまみずタンクに
使用されている接触型センサーeTape

併せてセンター内に設置されたあまみずタンク等の水位も収集している。 図7に雨水タンクに設置した水位センサーeTapeを示す。SORACOM製GWは2週間ほどで動作を停止するという問題があり、現在はファームウェアを更新すれば問題は解消するが、屋根の上にアクセスするのは容易ではなく、現在も時々停止するため手動で電源を入れ直している。

4.クラウドによるデータ表示

クラウドの構築は崇城大学(現シタテル、福岡工業大学客員研究員)の和泉信生先生に依頼した。当初は AWS上に、EC2を構築し、これにCakePHPを動作させ、MySQLは Amazon RDS 上のものを使用した。表示もCakePHP を用いた。しかし、3つのセンサーからの10秒ごとのトラフィックを表示させると、度々表示できない状況になり、根本的にシステムを書き直した。 現在は、AWS Lambda を用い、AWS DynamoDB に保存するとともに、Elastic Search(ES) に投入している。表示画面はESをKibanaから検索する。図8に河川水位モニタリングの表示 (http://bit.ly/hi-003a) を、図9にあめにわ憩いセンターの雨水タンクの水位2点と排水孔の水位1点の表示 (http://bit.ly/anic2)を示す。


図8 河川水位センサーの表示例(AWS-ES-Kibana利用)


図9 河川水位センサーの表示例(AWS-ES-Kibana利用)

この表示システムは、クラウド側にバージョンアップに伴う仕様変更がない限り問題なく動作している。

5.水位予測計算

水位予測計算に関しては、防災情報システムの洪水水位予測の高精度化をご覧ください。

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