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研究担当者 2−1 北山教授
2−2 太田教授
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2.物理化学的環境調和型新技術の開発研究 2−1.テーラーメイド細孔構造を有する多孔質セラミックスの開発研究 (研究の背景) 窒化ケイ素セラミックスは、原料粉末であるa-Si3N4が液相焼結中相転移し、右図のような針状のb-Si3N4結晶がインターロックした微細組織を発達させるため、強度、靱性、耐摩耗性、耐食性に極めて優れた材料として知られています。その微細組織を生かした細孔構造を持つ多孔質組織を実現することにより、高強度、耐衝撃性を有し、透過性能に優れた多孔質窒化ケイ素は、精密(限外)ろ過フィルターへの応用が期待されています。 (研究の目的) 一般に、凹凸のある表面構造であり、さらに、内部細孔を有しかつ細孔が互いに貫通しているような多孔質材料には生物膜の付着形成が良好であることが知られており、上記の窒化ケイ素セラミックスの微細組織は、本目的に最適であると思われます。本研究の目的は、多孔質窒化ケイ素のナノ細孔により微生物を担持し、さらに、マイクロ細孔を設け液透過性を改善したナノ−マイクロ細孔構造を有する新規な多孔質組織を実現することにあります。本材料は、平成20年度より、プロジェクト1で見つけられた好気性、嫌気性細菌コンソーシアを担持した「バイオフィルター」の多孔体に用いられ、九州地方の地場産業である焼酎産業から排出される高粘度、高COD廃液の処理へ最適化(テーラーメイド)します。 2−2.オゾンを利用した微量環境汚染物質の分解除去技術の開発研究 (研究の背景) 半導体産業やドライクリーニング等で大量に用いられているトリクロロエチレン(TCE)等の有機溶剤による地下水汚染を防ぐ目的で、土壌汚染対策法が平成14年度に発令されました。また、近年、塗料の溶剤等に使用されるベンゼン、トルエン、キシレン等の揮発性有機物質(volatile organic compound: VOC)による大気汚染(光化学オキシダント)や、ホルムアルデヒド等によるシックハウス症候群が問題視されてきています。これを受けて、改正大気汚染防止法が平成16年度に施行され、VOCの排出規制が定められました。以上の理由から、TCE、ホルムアルデヒド等を含むVOCのオンサイト分解技術の開発が強く望まれています。
(研究の目的) 本研究室では、セラミックス多孔体にオゾン分解活性を有する金属酸化物を担持した、いわゆる、オゾン分解フィルターを開発してきました。触媒表面においては、オゾンの分解時に活性酸素(酸素ラジカル O・)が発生するため、種々のVOCが効率よく分解できる可能性が高いと期待されます。本研究の目的は、オゾン+オゾン分解フィルターを用いたVOC分解効率を調査し、VOC分解効率の高い触媒を探索すること、さらに、水中で効果のある分解触媒を探索することにあります。
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